農商工連携

2011年10月13日 @ 08:10 PM
minamigawa

10年程前 当社の機械を入れているお客さんから油揚げの調子が悪いから指導してほしいと頼まれたことがある。

機械屋はこのようなことを頼まれることが時々あって現場でいろいろ調整を行った。

考えてみると機械屋が毎日作っている人に製造指導するなんておこがましい話であるが

この時はかなりてこずった。

国産大豆を使っていたが、産地の違うものに変えてみたら一発で良くなった。

「同じ品種でも産地が違うとこんなに違うんやね、確かにコシヒカリでも産地や生産者によって味が全然違うもんな」

と言ったお客さんの言葉が頭からなかなか離れなかった。

「機械や凝固剤等で調整できることには限界がある」

良い商品つくるにはやっぱり原料であることをこの時身にしみて感じた

これが機械屋の私が農業に首を突っ込んだきっかけだ。

まさに畑違いの分野。

同じような話はあちこちであったが「加工」の視点から大豆栽培の研究されていないことがわかった。

   

以前にも少し説明したが三重大学の生物資源学部の梅崎教授の協力を得て「にがり農法」という栽培方法確立した。

この栽培方法で作った大豆はタンパク質の含有量も高めで安定することがわかった。

特に豆腐製造については適した栽培方法である。

斉藤農場さんをはじめこの新しい農法に興味をもってくれる農家も増えて昨年約130ha(39万坪)で契約栽培をした。

この取組のおかげで機械屋の私が多くの農業生産者と繋がるきっかけになりネットワークが広がった。

現在 大豆生産者の方々と定期的に集まり栽培ルールを決めたり、時には豆腐屋さんや納豆屋さんなど加工業者も入ってもらい

使用者側の意見も聞く機会を設けている。

このにがり農法で栽培した大豆を原料は主に当社で大豆パウダーに加工している。

おからの出ない原料となる大豆パウダーだ。

通常生の大豆は微粉砕することができない。

脂質が多く粉砕機の中で詰まってしまうからだ。

当社ではその大豆を20μm(マイクロメートル)程度に微粉砕する工夫をしている。

花粉症の原因となるスギ花粉(30μm程度)より更に細かいレベルまで熱をかけないで粉砕する。

国産大豆はタンパク含有も豊富でおいしい豆腐を作るのに適している。

しかし残念ながら国際的な価格競争力はかなり低い

大豆は豆腐以外にも味噌、醤油、納豆など日本の伝統食品には欠かせない原料である

大豆まるごと豆腐の原料以外にもパウダー化することでいろいろな分野に広がるのではないかと考え、

用途開発の研究をしている。

焙煎して微細化きな粉をつくってアイスクリーム原料にしたりお菓子やパン、麺、練り製品など徐々にではあるが

用途の目処がたってきた。

栽培技術の開発、トレーサビリティの徹底、大豆の微粒化技術や用途開発、新商品開発まで一気通貫で進めて

新たな価値を生み出し競争力を持つことが我々の農商工連携の目的

弱者連合では勝者にはなれない

勝てる農商工連携を目指したい


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